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ジャパネット たかた 層状物質中の電子が示す異常な臨界挙動を発見


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[ 36] 層状とは! 層状物質中の電子が示す異常な臨界挙動を発見 −高温超伝導など強相関電子物性の理解に向けた一歩−
【参考サイトURL】  http://www.jst.go.jp/pr/info/info193/index.html

JST(理事長 沖村憲樹)の研究チームは、層状の結晶構造を持った有機物電気伝導体が、電気が流れない絶縁体から電気をよく流す金属へ転移する(金属絶縁体転移)際に、その電気伝導度の変化が既存の概念では説明できない異常な挙動を示すことを発見した。
結晶中には1023個程度の電子がひしめきあっており、その結晶の電気的・磁気的性質を決めている。電子は負電荷を持つため互いに反発し合っているが、この反発力が弱いときには電子はほぼ自由に運動することができ、結晶は金属となる。一方、反発力が強いと(強相関電子系)、電子の運動は妨げられて停止し、絶縁体となる。層状構造を持った銅酸化物や有機物電気伝導体の結晶では、温度や圧力の変化により絶縁体が金属に変化する。この転移の過程で、高温超伝導のような非従来型の(従来の理論では理解できない)超伝導が発現することから、そのメカニズムを解明する鍵として金属絶縁体転移について盛んに研究が行われてきた。しかし「層状物質における金属絶縁体転移」の詳細な性質は未解明だった。
本研究では有機物伝導体を対象に、低温環境下で圧力によって電子状態を精密に制御しつつ電気抵抗を測定し、金属絶縁体転移に伴う電子の臨界的な振る舞いを詳細に観測することに成功した。観測結果から、層状物質での金属絶縁体転移に伴う臨界的な振る舞いの定量性に初めて迫り、既存概念では説明できない異常性が明らかになった。この結果は、金属絶縁体転移近傍で見出される、超伝導を含む様々な電子状態の解明に重要な指針を与えるものと期待される。
本研究成果は、戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CRESTタイプ)の研究テーマ「相関電子コヒーレンス制御」(研究代表者:永長直人 東京大学大学院工学系研究科教授)の一環として、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の大学院生賀川史敬氏、宮川和也助手、鹿野田一司教授によって得られたもので、7月28日付け英国科学誌「ネイチャー」にて発表される。論文題目は"Unconventional critical behavior in a quasi-two-dimensional organic conductor"(擬2次元有機導体における異常な臨界挙動)。
現代の物性物理学の大きなテーマの1つに、互いに強く相互作用する電子の集団−いわゆる強相関電子系−の研究が挙げられる。物性物理学の主役である電子は粒子性と波動性の両方を兼ね備えたものであるが、極論すればこの2面性こそが強相関電子系が示す多彩な現象の源となっている。電子の2面性を制御する鍵は、電子が負の電荷を持つことにより生じる電子間の反発力(電子相関)にある。例えば電気を流す物質(金属)において電子は波として振舞っており、結晶全体に広がっているが、これに電子相関が加わると、電子は互いに避けあうため波動性を失って局在し、その結果電気を流さない絶縁体(モット絶縁体)となる。これは、いわば電子の粒子性が顕著に現れている状態である。このように、電子相関を徐々に強くしていくと、波動性が顕著な電子(金属)は最終的には粒子性が顕著な電子(モット絶縁体)へとその性質を変えていく。電子の運動エネルギーと電子相関の強さが同程度の場合、ミクロに見れば電子は波動性と粒子性の間でせめぎ合い、マクロに見れば結晶の電気的性質が金属と絶縁体の間で揺れ動くことが想像されるが、詳細は明らかになっていない。
「電子相関の強さという1つのパラメータによって、金属と絶縁体という電気的性質が劇的に異なる2つの状態の間の移り変わり(金属絶縁体転移)が、どのように起こるのか?」。この問いかけは強相関電子系の物理の根幹を成す基本命題であり、半世紀近くに渡って今なお精力的な研究が行われている。特に舞台が層状物質(注1)になると、金属絶縁体転移近傍の多体電子系が高温超伝導(注2)などの魅力的な電子状態を示すため、層状物質における金属絶縁体転移の研究により強い動機付けを与えている。しかしながらまだ十分な回答が得られていないのが現状である。
結晶における電子相関の強さを制御する方法の1つに圧力がある。加圧によって原子間(または分子間)の距離を縮めてやると、電子の運動エネルギー(波動性)が強くなる。従ってモット絶縁体を加圧していけば金属化させることができる。そこで本研究では、圧力に対して敏感(柔らかい)、かつ、層状構造を持つ有機物電気伝導体κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Cl(注3)に着目した。この物質の圧力温度相図は当グループの最近の研究などから既に明らかになっており(図1)、常圧下ではこの物質はモット絶縁体であるが、圧力下では金属(低温で超伝導)になる。
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